2025/02/14 14:31
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https://note.com/maryafactory/n/nd381ae5017cf
ある服飾学生さんとの仕事話👗
マーヤ縫製工場にメッセージが届いた。
「お忙しいところ恐れ入ります。突然のDM失礼します。」と謙虚な挨拶と
セットアップスーツを作っていただきたいとの内容でした。学生さんの依頼方法や金銭面でも信用不安で、お断りすることが多く、今回も難しいのではと頭では思いながら電話をしました。こちらも謙遜するような謙虚な挨拶と、他にも縫製工場に問い合わせてみたが、返信なく相手にされず困っていてる状況でした。
縫製工場としても未払いや横暴な依頼が昔から多発していたので、誰かの紹介以外の新規依頼に対しては、学生さんに限らず、工場によっては後ろ向きです。かくいう弊社も痛い目にあい、なので決して悪いわけではないです。ただなんとなく謙虚な人柄に自分を近いものを感じ、工場で話を聞くことにしました。
学生ファッションブランド
翌週工場でお会いすると、身なりが整った好青年(山田くん・仮名)。山田くんは服飾学校に入学して服作りを学びたかったが、コロナ禍でほとんど対面授業ができず、学びも中途半端なものとなり、再度入学して服作りを学んでいるとのことでした。在学中にご自身でブランドも立ち上げ、コート、ジャケット、パンツの一点ものを販売しています。
工場見学すると目を輝かせて、服作りの過程を一つ一つ質問されました。
人柄や服作りへのリスペクト、ブランドの世界観も含め素敵で、はじめサンプルのみキャッシュオンデリバリーを条件に承りました。
作った服が即完売
1点もので数は多くない、加工賃も上代もそれなりに高くはなりました。自社ECと都内卸先が1店で販売。工場に車で服を取りにきてそのまま納品して、翌週に完売したと連絡がくる。次回の打ち合わせと工場に生地を持ち込みにくる。作る。売れる。作る。売れる。が続き、何度も工場に自ら足を運んでくださるので、どんなに忙しくても山田くんの依頼は社員全員も顔見知りので、なんとかしようと動きます。そんな中で会社経営側は支払い大丈夫なのかも不安で戦々恐々しておりましたが、振込みができないとのことで、現金封筒で持ち込んできた時は驚きました。
活躍の場を広げる
そんな中、山田くんはファッション会社にスカウトされ、学校も辞めることになりました。おめでたいと同時に、仕事依頼はこなくなってしまうのかなと寂しい気持ちもありました。
しばらくして山田くんから連絡が、「就職したファッション会社社長と工場見学に行かせてください」と、もちろんOKした。社長さんは若く業界では有名人で、工場を案内しながら予定より長くお話や年間スケジュールもすり合わせる打ち合わせを行いました。
社長さんが工場まで足を運んだ理由
最後に社長さんが「実はビジネス的な観点で多く作れたり、安く作れたりする他の工場も提案したのですが、山田がそれじゃダメなんです、マーヤ縫製工場でないと作れないと一歩も引かず、それならその工場を見させてほしいとなり今回お邪魔させていただきました。」と事の経由を聞き、社長さん自らもぜひお願いしたいと改めて言葉にしてくださり感無量でした。
現在進行中
応援したくなる人とは
安くサンプル作れるところないですか?をあるファッションの祭典で学生から聞かれたりもします。企画プレゼンの場で製作費の内訳をみると、技術料加工賃が入ってないことも目にします。もちろん未来ある学生さんに学割や特別サービスをするのも望ましいことだと思います。一方はじめは一生懸命汗を流して働いてお金を貯めて、学費を払い技術を学んだり、ご依頼してくださる学生さんもいるということも知っていてほしいです。
↑の文章をchatGPTでわかりやすく感動ストーリーにしてもらった↓
ある服飾学生と縫製工場の物語
ある日、マーヤ縫製工場に一通のメッセージが届いた。
「お忙しいところ恐れ入ります。突然のDM失礼します。」
礼儀正しい挨拶とともに、セットアップスーツの製作をお願いしたいという内容だった。
しかし、これまで学生からの依頼では、金銭的な信用問題や取引の難しさから、お断りすることが多かった。今回も厳しいだろうと思いながらも、何かが気になり、電話をかけることにした。
電話口の相手は、こちらと同じように謙虚な態度で話し、他の縫製工場にも問い合わせたものの、相手にされず困っているとのことだった。
縫製業界では、未払いのトラブルや横暴な依頼が多く、新規の取引に慎重な工場が少なくない。実際、私たちの工場も過去に苦い経験があり、新規の依頼には警戒していた。それでも、彼の誠実さに何か通じるものを感じ、一度話を聞くことにした。
学生ファッションブランド
翌週、工場にやってきたのは、身なりの整った好青年・山田くん(仮名)。
彼は服飾学校に入学したものの、コロナ禍でほとんど対面授業ができず、思うように学べなかったため、もう一度入学し直して服作りを学んでいるという。在学中に自身のブランドを立ち上げ、一点物のコートやジャケット、パンツを販売していた。
工場見学を始めると、彼の目は輝き、一つひとつの工程に真剣な表情で質問を投げかけてきた。その人柄や服作りへの敬意、ブランドの世界観に共感し、まずはサンプル制作をキャッシュオンデリバリーの条件で引き受けることにした。
作った服が即完売
一点物で生産数は多くないが、加工賃も上代も決して安くはない。それでも、彼は自社ECサイトと都内のセレクトショップで販売し、工場に直接車で受け取りに来て、そのまま納品していた。
そして翌週、「完売しました!」と嬉しい報告が入る。
その後も、彼は生地を持ち込み、新しい服を作る。作れば売れる、作れば売れる。そのサイクルが続き、彼は何度も工場に足を運んだ。気づけば、工場の社員全員が彼の顔を知り、どんなに忙しくても彼の依頼には応えようと動くようになっていた。
そんな中、経営陣としては「支払いは大丈夫なのか?」と不安もあった。しかし、彼はある日、「振込ができなくて……」と、封筒に入った現金を持ち込んできた。その誠実な姿勢に、私たちは改めて彼を信じようと思った。
活躍の場を広げる
そんな折、彼はあるファッション会社にスカウトされ、学校を辞めることになった。
「おめでとう!」と祝福しつつも、「もう仕事の依頼はこなくなるのかな」と少し寂しい気持ちになった。
ところが、しばらくして彼から連絡が入る。
「就職した会社の社長と一緒に工場を見学したいです」
もちろん快諾した。
やってきたのは、若くして業界で名を馳せる社長。工場を案内しながら、予定より長く話し込み、年間スケジュールのすり合わせまで行った。
社長が工場まで足を運んだ理由
見学の最後、社長がこう語った。
「実は、ビジネス的な観点から、もっと大量生産できて安く作れる工場も提案したんです。でも、山田が『それじゃダメなんです。マーヤ縫製工場じゃないと作れません』と一歩も引かなかった。だから、私も実際に工場を見てみたくなったんです。」
その言葉を聞いた瞬間、胸が熱くなった。
そして社長は改めて、「ぜひお願いしたい」と言ってくれた。
応援したくなる人とは
ファッションの祭典で、学生に「安くサンプル作れる工場を知りませんか?」と聞かれたことがある。また、企画プレゼンの製作費の内訳に、技術料や加工賃が含まれていないことも少なくない。
もちろん、未来ある学生に特別なサービスを提供するのも一つの選択肢だ。しかし、一方で、一生懸命働いてお金を貯め、学費を払い、技術を学びながら、誠実に依頼してくれる学生もいる。そんな姿を知ってほしい。
私たちは、ただ「安く作ってほしい」と言う人ではなく、「本気で服作りに向き合う人」を応援したい。
そしてこれからも、そんな想いを持った人たちと共に、ものづくりを続けていきたい。