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2022 / 09 / 10  

繊維ニュース掲載

https://www.sen-i-news.co.jp/seninews/view/?article=383040

 

明日へ これが我が社の生きる道 縫製編(72) マーヤ

2022年09月02日 (金曜日)

 「本日の目標生産額○○円」――。工場のホワイトボードに、そう書かれている。生産量ではなく、品質と金額に徹底的にこだわる縫製工場がある。東京都足立区の閑静な住宅街の一角に、本社工場を構えるマーヤだ。適正な加工料でなければ仕事は受けない。その強気な姿勢は技術力に裏打ちされた自信の表れだが、そこに至るまでには紆余(うよ)曲折があった。

 1959年に創業した。76年に千葉県香取市に第2工場を設立。会社名のマーヤは、弘法大師(空海)によって826年に創建されたと伝わる地元、足立区の西新井大師の住職に命名してもらった。お釈迦(しゃか)さまの生母・摩耶夫人(まやぶにん)に由来する。語呂を良くするため「マーヤ」にした。「工場に女性が多かったことや婦人服を作っていることから、女性の幸福を願った社名」

 こう語るのは2000年に創業者の先代から家業を継いだ菅谷智社長(58)だ。創業当初は子供服の製造が中心だったが、ジャケット専門に移行。その後、大口取引先の倒産が響き経営が苦境に陥った。これを機にリスクを分散するため、2代目の智社長がスカートやブラウス、ワンピースなどアイテムを拡充し取引先を増やした。高級婦人服を幅広く扱い、経営を立て直した。

 高級婦人服にかじを切ったが、最初から順調だったわけではない。高級になれば、求められる技術水準も上がる。「収めた製品が不良扱いになり、取引先から何度も呼び出された」と智社長は振り返る。こうした苦い経験を経ながら、技術力を蓄積した。

 その一つが「メローロック」。裾などの生地の端がほつれないよう、細い糸で仕上げる高度な技術だ。磨き上げたミシンテクニックを強みに、顧客からの信頼も厚い。現在は月産で約2千枚の婦人服を生産する。

 新型コロナウイルス禍で仕事が減った時期は、マスクや医療用ガウンを製造販売して危機を乗り切った。同時に課題も見えた。「取引先に依存せず自分たちの力で成長できる事業を作り出さなければ」。こう話すのは智社長の長男で専務取締役の正氏(33)だ。

 18年に自社ブランド「マーヤ」を立ち上げ、ライフスタイルアクセント(熊本市)が運営する工場発の国産衣料品通販サイト「ファクトリエ」でブラウスの販売を始めた。正専務は今後、特色ある自社開発商品を増やすことで活路を開こうとしている。ふるさと納税返礼品への採用を目指したり工場見学ツアーを企画するなど、次の成長軌道を探っている。

 (毎週金曜日に掲載)

社名:株式会社マーヤ

本社:東京都足立地区椿2の8の5

代表者:菅谷智

主要生産品目:婦人服全般

従業員:19人